日本バプテスト 福岡城西キリスト教会

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ともに明日へ

寺園喜基寄稿シリーズNo.4

このページは当教会の協力牧師である、前西南学院院長 寺園喜基師が、 「西南の風」に掲載された随想から連載します。

待つ喜び

寺園喜基 師 

 「待つ」という言葉で、どういう印象をもたれるでしょうか。「いらいらして待つ」という感じで しょうか。それとも「のんびり待とう」でしょうか。
 大げさかもしれませんが、現代人は待つことが苦手になっているのではないか、と思います。「我 慢して待つ」よりも「さっさと、早く結果を」、という方を取るのではないでしょうか。「待つ身は長 い」とも言います。英語でもA watched pot never boilsといいます。ファーストフードが流行って いますし、食材でも旬の出盛りのものよりも、時期的に一足早いものが喜ばれます。あるものを買うにし ても、お金を貯めてから買うというよりも、欲しいものを手に入れてからローンで支払います。何だか 社会のシステムからして、待てない社会になってしまいました。
 しかし、待つことが楽しい、という場合だってあります。シチューやポトフを煮込む間や、紅玉 をたっぷり使ってリンゴケーキを焼く間など、出来上がりを待つ時間が幸福に感じられませんか。山 登りや旅行に出かける前の日、冬や夏の休暇を待つ日々、入社式や入学式等を待つ間、何だか浮き浮 きします。「待つうちが花」という皮肉めいた言葉もありますが、「待てば海路の日和有り」という言 葉もあります。英語では Everything comes to him who waits と言うそうです。
 さて、クリスマス前の約4週間はアドベント(待降節)です。クリスマスに特有な事は、クリス マスを待つ期間つまりアドベントがあること、これもまたクリスマス之喜びに属する、ということで す。アドベントの間に、私たちは待つ喜びを学ぶのです。降誕を待つ日々はまだ降誕の時ではありま 線が、既に喜びの中で待っているのです。

   
アドベント、アドベント、小さな火がともる
   はじめは一本、次に二本、次に三本、次に四本
   そうしたら、子供のキリストがドアの前でたっているよ


 この詩はドイツの子供たちが幼稚園や小学校で暗唱する最初の詩だそうです。わが家の子供たち も、以前客員教授として滞独していた時、習って帰ってきました。
 このようにアドベントの間に待つ喜びを学ぶことによって、さらに待つことの積極性をも学びたい と思います。待つことは備える事です。準備の働きをすることです。ブルームハルトという19世 紀ドイツの牧師が、「急ぎつつ待つ」と言う事を語りました。彼は終末の神の国を喜んで待つという 姿勢を神の国運動として展開し、これを急ぎつつ待つと言ったのでした。アドベントと同根の言葉 にアドベンチャー(冒険)という言葉もある事を想いつつ、待つことの意味を思いめぐらしたいもの です。(2004年12月)