使徒言行録10章9~33節
◆ペトロ、ヤッファで幻を見る
翌日、この三人が旅をしてヤッファの町に近づいたころ、ペトロは祈るため屋上に上がった。昼の十二時ごろである。彼は空腹を覚え、何か食べたいと思った。人々が食事の準備をしているうちに、ペトロは我を忘れたようになり、天が開き、大きな布のような入れ物が、四隅でつるされて、地上に下りて来るのを見た。
その中には、あらゆる獣、地を這うもの、空の鳥が入っていた。 そして、
「ペトロよ、身を起こし、屠って食べなさい」
と言う声がした。しかし、ペトロは言った。
「主よ、とんでもないことです。清くない物、汚れた物は何一つ食べたことがありません。」
すると、また声が聞こえてきた。
「神が清めた物を、清くないなどと、あなたは言ってはならない。」
こういうことが三度あり、その入れ物は急に天に引き上げられた。ペトロが、今見た幻はいったい何だろうかと、ひとりで思案に暮れていると、コルネリウスから差し向けられた人々が、シモンの家を探し当てて門口に立ち、声をかけて、
「ペトロと呼ばれるシモンという方が、ここに泊まっておられますか」
と尋ねた。
ペトロがなおも幻について考え込んでいると、“霊”がこう言った。
「三人の者があなたを探しに来ている。立って下に行き、ためらわないで一緒に出発しなさい。わたしがあの者たちをよこしたのだ。」
ペトロは、その人々のところへ降りて行って、
「あなたがたが探しているのは、このわたしです。どうして、ここへ来られたのですか」
と言った。すると、彼らは言った。
「百人隊長のコルネリウスは、正しい人で神を畏れ、すべてのユダヤ人に評判の良い人ですが、あなたを家に招いて話を聞くようにと、聖なる天使からお告げを受けたのです。」
それで、ペトロはその人たちを迎え入れ、泊まらせた。翌日、ペトロはそこをたち、彼らと出かけた。ヤッファの兄弟も何人か一緒に行った。
次の日、一行はカイサリアに到着した。コルネリウスは親類や親しい友人を呼び集めて待っていた。ペトロが来ると、コルネリウスは迎えに出て、足もとにひれ伏して拝んだ。
ペトロは彼を起こして言った。
「お立ちください。わたしもただの人間です。」
そして、話しながら家に入ってみると、大勢の人が集まっていたので、彼らに言った。
「あなたがたもご存じのとおり、ユダヤ人が外国人と交際したり、外国人を訪問したりすることは、律法で禁じられています。けれども、神はわたしに、どんな人をも清くない者とか、汚れている者とか言ってはならないと、お示しになりました。それで、お招きを受けたとき、すぐ来たのです。お尋ねしますが、なぜ招いてくださったのですか。」
すると、コルネリウスが言った。
「四日前の今ごろのことです。わたしが家で午後三時の祈りをしていますと、輝く服を着た人がわたしの前に立って、言うのです。
『コルネリウス、あなたの祈りは聞き入れられ、あなたの施しは神の前で覚えられた。ヤッファに人を送って、ペトロと呼ばれるシモンを招きなさい。その人は、海岸にある革なめし職人シモンの家に泊まっている。』
それで、早速あなたのところに人を送ったのです。よくおいでくださいました。今わたしたちは皆、主があなたにお命じになったことを残らず聞こうとして、神の前にいるのです。」